マスダがアウトサイダーアートを知ったのは、偶然世田谷美術館で障害のある方たちの展示を観たときでしたが、
アウトサイダーアートという呼び方の他にアール・ブリュットとも言いますよね?
これって何故なのでしょうか?
今日はアール・ブリュットとアウトサイダーアートの違い、なぜ2通りの呼び方があるのかをお話ししてみます!
始めに生まれた言葉は?
アール・ブリュットとアウトサイダーアート、どちらが先に生まれた言葉なのかと言うと先に生まれたのは
「アール・ブリュット」
これはそれまで「精神病患者の芸術」とか「精神分裂病の芸術」などと言われることが多かった作品たちを、医学の分野から切り離して考えたいと思った、戦後のフランスを代表する画家ジャン・デュビュッフェが1945年に独自に生み出した言葉です。
ジャン・デュビュッフェ
(Jean Philippe Arthur Dubuffet, 1901年7月31日-1985年5月12日)
20世紀のフランスの画家。
アンフォルメルの先駆者と見なされ、従来の西洋美術の伝統的価値観を否定して、アール・ブリュット(生の芸術)を提唱した。彼はフォートリエ、ヴォルスらとともに、アンフォルメル(非定形の意味。1950年代に盛んになった前衛美術運動)の先駆者と見なされ、20世紀美術の流れをたどる上で重要な画家の一人である。彼は若い頃にパリで絵画を学んだが、やがて父の仕事と同じワイン商の事業を立ち上げ余暇で絵を描き続けた。
画家として立つことを決意したのは遅く1942年、40歳を過ぎてからのことであった。
1960年にはパリ装飾美術館(フランス語版)でデュビュッフェ回顧展が開催され、1981年にはパリ市立近代美術館でデュビュッフェ生誕80年記念展が開催された。
彼がフランスやスイスの精神病院を訪ねて蒐集した作品は、精神の深淵の衝動が生のままでむき出しに表出されており、ルネッサンス以降の美しい芸術(Beaux-Arts)に対して反文化的だとみなしていた。
このコレクションは、1967年にゆかりあるパリ装飾美術館にて初めて展示され、1976年には永続的な管理を引き受けたスイスのローザンヌ市にアール・ブリュット・コレクションが開設された。
wikipediaより引用
「ブリュット」はシャンパンの格付けに使われる単語で、「加工されていない」「生(き)のままの」という意味合いがあります。
「生(き)」とは、日本でも昔の言い方で生娘(きむすめ)という言葉がありますが、それと同じような感じのようです。
美術教育や常識に汚されていない、まっさらで無垢、純粋な芸術という意味でアール・ブリュットと名付けたんですね。
その後、アウトサイダーアートという言葉が生まれたのですが、なぜアール・ブリュットとして広まっていかなかったのでしょうか。
ジャン・デュビュッフェのせい?
デュビュッフェは自身が生み出した「アール・ブリュット」という言葉の安易な転用を許さなかったようで、長い間その意味の改変に目を光らせていたよう。
デュビュッフェの監視(?)の目により英語圏でアール・ブリュットという言葉をそのまま使うことがはばかられた理由のひとつとなっているようです。
その後1972年にイギリスの美術評論家ロジャー・カーディナルによって「アウトサイダーアート」という言葉が生み出され、概念を広げ精神障害以外に美術教育を受けていない人たちや、プリミティブアート(未開民族の美術)、心霊術者の作品なども含まれるようになりました。
最近では死刑囚の作品なんかも含まれていたりもしますよね。
▼林眞須美「死刑」
▼宮前一明「手段継承」
クシノテラスより引用
日本ではアウトサイダーアートという言葉にあまりいいイメージがないようですが(障害を持った方を部外者として指しているんじゃないかという誤解があるよう)、
どちらかと言うとアール・ブリュットの方が障害を持った方の作品のみを指していて、アウトサイダーアートはもっと広い範囲のアートを意味しているんだなと今さらながらマスダ気付きました。
アール・ブリュットもアウトサイダーアートもほとんど同じで違いなんてないでしょ、と思っていましたが、違ったね。。!
調べるって大事です。