増田智己-マスダトモミ-
刺繍入り画家
元アパレル販売員が34歳から画家活動開始。
描く縫う編むことで作品制作しています。
築100年以上の古民家から、世界の日常にアートをお届けします。
30代から活動を始めたのには大きなきっかけがあり、小さな頃から「絵を描いて生きていきたいなぁ。」とは思いつつも何の行動もせずに、ぐうたらと過ごしておりました。←基本的にぐうたら人間です。
でもある時、とても大きな人生の転機がやって来て、私は絵を描いていく道に進むこととなります。
■目次
マスダが絵を描いて生きていこうと決めた訳。
人生の転機。
人にはそれぞれ人生の転機ってあるんじゃないかと思うんですが、
マスダの転機は本格的に絵の活動をする1年前。2007年です。
この年、マスダは2歳になる娘を亡くします。急死でした。
この出来事は大きな悲しみと共に、マスダの生き方を大きく変えるきっかけとなります。
それまでは、ずっと絵を描いて生きていきたいと心の中では思っていましたが行動はしておらず、子供が出来たことによって、
「子育てで大変だし、もう絵の活動は出来ないのかなぁ。」
と、そんなに活動もしていなかったのに、子供のせいにしてまったく行動していなかったのです。
でも、急に子供を亡くし、毎日毎日泣く日々の中
「自分が死んだら子供に会える。
でも死んだ時に、子供に”ママは生きている時、こんな風にがんばったんだよ。”と堂々と言えるよう、
あれをやっておけば良かった。。などと後悔することなく生きよう。」
と強く思い、絵を描いて生きていこうと決めたのです。
いえ、決めたというよりも絵を描いていくような流れに自然となっていったため、
「絵を描いていけばいいのかもしれない。」と思い、決意することが出来た、という方が正しいかもしれません。
心の中では絵の活動をしたいと思いつつ、まったく行動しないという状態が30代半ばまで続いたマスダですが、ついに活動を決意するきっかけとなる出来事が起こり、34歳から画家としての道が始まりました。
活動してからの苦悩。
何もやってこなかったツケ。
絵を描いて生きていこう。。!
と決心し、とにかく自分は絵を描いている事をSNSやブログで発信し続けました。
そうすると、とても運よくお声がけくださる方がいらっしゃり、活動始めから個展やグループ展、海外での展示などを経験させていただくことが出来ました。
でも、そうやってお声がけいただく事にも、活動し始めたばかりで1ミリも自信がなかったマスダは
「なぜ自分が?(展示させてもらえるんだろう?)」という疑問や不安と、
展示させてもらえる毎に、周りの皆さんの技術の凄さに圧倒されてしまい、
「現代アートでやっていくにはもっとキレイに描かなければいけないんじゃないだろうか。」
という勝手な枠組みを自分の中に作ってしまったり、
美大コンプレックス(美大に行っていない事の引目)を長い間持つことになりました。
今思えば、今まで全然描いていなかったんだから仕方のない事でしたが、
その当時はとにかくまわりの意見に右往左往し、絵を描いていく事が辛くなってしまう時期もありました。
自分の強み。
それでも何年か続けていくと、だんだんと「自分らしさ」みたいなものが見えてきます。
美大に行かなかったからこそ、今こういう絵を描けている。
デザインの学校へ行き、フラフラとフリーターを続け、その後アパレルで長く働いていた自分だからこそ描ける絵がある。
そう思えるようになり、それこそが自分の強みなんだと自分を受け入れられるようになってきたのです。
めちゃくちゃ自信が付いたかと言われると、どうかわかりませんがこのままでいいんだと思えるようになりました。
そう思えるようになったのは、たくさんの経験と自分が生み出したものを購入してくれる方がいた事の積み重ねなのだと思います。
自分の絵が描けるようになるまでに10年かかる、という事を聞いたことがありますが本当にそうで、とにかく描き続け、自分と対峙し、自分を理解し認める事が絵を描くことではとても大事なのではないかと思わされました。

ここでいいのか。
そんな風に自分の絵を認める事が出来つつも、そんな中どこへ進んでいけばいいのかわからなくなる状態が続きました。
いろいろなギャラリーで展示をさせていただきましたが、ギャラリーに作品を観に来るのは
ほとんどがアート好きな方、コレクターの方、自分自身も制作している作家さんなどがほとんどじゃないかなと思います。
でもマスダは普通に暮らす人たちにもっと見てもらいたいとずっと思っていました。
アートが好きっていう訳じゃなくても、何だかこの絵が好きだな。。とかそんな感じでいいんです。
毎日あくせく働いて、でもちょっとしたほっと出来る時間に絵がある。。そんな生活の中の一部に溶け込みたい。
そんな風に思っていました。
そうしたら、これってやり続ける意味ある?
でも、ここじゃないと生きてはいけないし。。。と、自分の中で「画家として生きていくにはここじゃないとダメなんだ。」という勝手な決まりを作ってしまっていたので、
どこへ行けばいいかわからず、モヤモヤとそしてフラフラとしながら進んでいたのです。
そんな期間が何年か続いたのですが、2017年にギャラリーで開催されるコンペで最優秀賞をいただき、個展開催の機会をいただきました。
▼ACTアート大賞展最優秀賞受賞個展「サヨウナラ、こんにちは。」の様子。

▼コンペ作品募集のパンフレットにも作品を使用していただきました。

とても嬉しかったのですが、その個展をさせていただいた後は、何だかこのまま今までと同じように活動していくことに力を使えなくなってしまいました。。
より身近な場所へ。
個展が終わってからは、もっと身近な場所で活動することは出来ないだろうか。。?と活動の模索を始めました。
このブログを始めたのも模索を始めたこの頃から。
そして新たな出会いなどもあり、ワークショップや教室、カフェでの展示などもさせていただき、またここでもさまざまな経験をさせていただいたのです。
ただいろいろな事をやりすぎて、何だかまた訳が分からなくなって来てしまいました💦
そして、2020年に築100年以上の古民家に引越しをしたことが、また新たな変化をもたらします。
古民家への引越し。
やめられない庭いじり。
古民家には広い庭が付いていて、もともと植物を育てることや剪定することなども好きだった事もあり、自分でも信じられないくらいに庭いじりに激ハマりします。😅

もともとは昔ながらのニッポンの庭。。みたいな所だった庭を、抜根したり耕したり植えたり、また植え替えたりを毎日毎日やり始めました。
植物や庭作りについての本を読んだり、植物について調べたり、とにかく新しい事を学んでいく事は楽しすぎて、自分でもやめられなくなってしまったのです。
この頃は絵を制作することよりも庭を制作することが圧倒的に楽しく、そのうち絵を描くのは70歳とかになってからまたやるのでもいいかもな。。と本気で思い始めていました。
ただそこに、もう一度絵の方向へ導いてくれる存在がありました。
現在は14歳になる娘の言葉です。
子供の言葉。
私はいつも子供に助けられているんですよね。
本当にやりたい事へと導いてくれた亡くした子供。
そして、その後に生まれた娘の言葉に、いつも気付かされたり気持ちを前向きにさせてくれたりしています。
私が庭にハマりまくっている時も、
「ママの絵って可愛いよね*」
「また絵を描いてほしいなぁ。」(以前絵をプレゼントしたので。)
という言葉でいつも私が絵を描く事を応援してくれていました。
いつもそう言ってくれる娘がいて、そしてその娘も絵を描くことが大好きで、将来絵の方向に進んでいきたいよう。
そんな娘の進路のため、一緒に高校のオープンキャンパスへ行き、イラスト科などの授業を見学させていただいているうちに、
「やっぱ、絵、描きたい。。!」
そんな気持ちがよみがえって来たのです。
描きたい、だけではなく、ちゃんと結果を残していく事。
そして子供に恥ずかしくない姿を見せていく事。
そんな事を目標に、50代になった今、また新たな気持ちで進んでいこうと思います。
何歳からなに始めたっていいじゃない。
マスダが絵で伝えたいこと。
絵のテーマ。
絵柄はだんだんと変わっていったかもしれませんが、マスダの絵のテーマはずっと変わらずなんだなぁと気づいた時がありました。
そのテーマは「つながり」です。
はじめは亡くした子供とのつながりを、
そのうちに生まれてきてくれた子供や生きている周りの人たちとのつながりを、
そしてだんだんと人だけではなく、大好きな自然、植物たち、空、土、など見えるものも見えないものも、すべてとのつながりも感じつつ描くようにもなってきています。
でも今は正直よくわかりません。
最近では「つながり」というより、「日々」のような。。
日々暮らしている中で感じた事、心動かされた事、そんな事を描いているのかもしれません。
わからないから描いているのかな。
刺繍を入れるようになった訳。
絵に刺繍を入れるようになったのは、もともと絵にコラージュする事が好きだったのでコラージュ作品を作っていたのですが、
だんだんと「なんで絵と全然関係ないのにコラージュしているんだろう?」
という気持ちが湧いてきて、
もっと「つながり」と関係する絵のテーマとぴったりな素材はないかなぁ。。と考えていた事から始まりました。
そう考える中、「糸」は何かと何かをつないで新たな物や形を生み出していくなぁと思い、絵のテーマとぴったりなので刺繍をしていくようになったのです。
もともとアパレルで長く働いていて、刺繍されている洋服やレース、スパンコールが好きだった、という事も関係しているのかもしれません。
今までの活動履歴・賞歴と展示風景。
活動履歴や賞歴、今までの展示や活動風景を載せています。
展示風景はまだすべて載せておらず、少しずつ増やしていく予定です。
▶︎活動履歴・賞歴はこちらをどうぞ

▼作品についての詳しくはこちらもどうぞ
*おまけ*
活動してからの事をつらつらと書いてまいりましたが、絵の活動をする前はかなりのダメ人間だった私です。😅
そんなダメ人間が絵の活動を始めるまでのストーリーもまとめていますので、こちらのダメっぷりもご覧いただけますとより一層お楽しみいただけます。(←何を?)