増田 智己-マスダトモミ-の作品について。

 

「持つ人のお守りみたいな存在になってほしい。」

そう思うようになったのは、画家活動を始めて数年たった頃の事でした。

 

そう思えるようになるまでは、ただただ自分の中のどうしようもない悲しみを絵にぶつけることしか出来なかった。
絵を描いて生きていこうと決めたのは、とても大切な子供の死がきっかけだったからです。

ずっとずっと亡くした子供のことばかり考えて描いていました。
そうすることで自分を保っていた部分もあったのだろうと思います。

その頃の私に「絵を描く」ということがなかったら、まだずっと悲しみの中に閉じこもっていたのかもしれません。

 

 

絵を描くことで伝えたいこと。

数年間、絵に悲しみをぶつけながらも活動をしていて、ふと気づいたことがありました。

「私は大切な人を亡くした悲しみを伝えたくて絵を描いているんだろうか?」

。。なんだか違う気がしました。

 

子供を亡くしたことは本当に辛くて悲しくて、毎日毎日泣いていましたが
そんな悲しみの中、気づかされたことがたくさんありました。

 

大切な人と、普通にいつも一緒にいられること。
お話出来ること。
ご飯を食べられること。
喧嘩したり、怒ったり、泣いたり出来ること。

手を繋いだり、あたたかい身体をギュッと抱きしめられること。

こんな普通のことが、とてもしあわせで
本当のしあわせってこういうことなんじゃないかと気づかされたこと。

 

大切な人を亡くして、こんなに悲しいよという部分ではなく
亡くしたことで気づかされた大切なこと。

ほんとうの部分。ほんとうのしあわせ。

そして亡くしてしまったけれど、もう触ったりは出来ないけれど見守ってくれているような感覚。

そういうことを伝えたいし、描いていきたいと思いました。

 

そう気づいてからは、もう悲しみは描かないと決め
持ってくださる方がホッと出来たり、その絵をみて明日も頑張ろうと思えるような
その人の力になれるようなものを描いていこうと決めたのです。

 

 

絵を観てくださる方々と子供や大切な人たちの力。

そう思えるようになったのには、亡くした子供から気づかされたことばかりではなく、
活動していて絵を観てくださったり、ご購入くださった方々からいただいた言葉で

「癒されます。」

という言葉をいただくことが多かったという事も理由にあります。

自分自身では癒すつもりも何もなく描いていた絵だったので、とても驚きましたがそう言っていただけた事はとてもありがたい事でした。

 

そして活動をはじめて2年目くらいに、また新たに子供を授かった事も大きな力となりました。

ずっと見守ってくれている亡くした子供とのつながりを描いていた部分が多くありましたが、そこからだんだんと全ての人たちには見えないけれど、そうやって見守ってくれている存在がいるんだと気付き、そういう見えないけれど見守ってくれている存在とのつながりも含みつつ描くようになり、

今では見えない存在ばかりではなく、今現在一緒にいてくれる大切な人たちとのつながりも感じながら描くようになってきています。

 

ひとりひとり、ひとつひとつはとてもちっぽけで
一人きりに思ったり、とても寂しくなってしまう事もあるけれど

ちっぽけなそのひとつひとつは、とても大きな何かの大切な一部で
絶対に必要なかけがえのない一粒の光なのだと思うのです。

 

そんな想いをこれからも作り続けていこうと思います。

 

作品は刺繍の入った絵画作品、クマやネコのぬいぐるみ作品がありますが
どちらも同じ思いから始まって制作しているものです。

ぬいぐるみ作品のネーミング「Charm Bear-まもりクマ-」も、持つ人のお守りのようであってほしいという思いから付けたものとなります。

 

たった一つしかない原画作品・ぬいぐるみ作品の持つ力をお楽しみいただけると幸いです。